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現在、種子取祭で例年演じる組摘は、仇討ちものの「父子忠臣」と「伏山敵討」であるが、この「父子忠臣」のストーリーは、次のとおりである。

 島尻地方を支配する糸数の按司は、優れた人物であった。しかし、勢力の拡大を目指す束辺名ちかひなの按司は、彼を倒そうと企んでいた。
 束辺名の按司は、福地大主ふくちうふぬしをはじめとする臣下に命じて、糸数の按司の妻の誕生祝いの夜に襲撃を命じる。
 福地大主が率いる臣下たちは、「糸数の按司をはじめ、敵を皆殺しにした。」と報告して意気揚々と引揚げる。
 ところが、糸数の按司の臣下で、頭役の山城の比屋は、糸数の按司の息子を背負って逃げのびていた。その後、山城の比屋は、隠居の父・兼本大主とともに、主君の仇討ちをすることになるが、その仇討ちまでの物語は、次のように展開される。

父子忠臣
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 糸数の按司の一人息子である若按司を背負って逃げた山城の比屋は、商人に身をやつして仇討ちの機会をうかがう。
一方、隠居した父・兼本大主は、かつての主君である糸数の按司が殺されたと聞いて、主君の仇を討とうと恩納山にやってくる。束辺名の按司が、恩納山で猪狩りをするという情報を入手したからであった。

 次第に緊張感を増すドラマの中で、かつての糸数の按司の馬の草刈り係であった男が登場する。組踊によく登場するひょうきんな役回りの「間の者まぬむん」である。
 馬の草刈者は、束辺名の按司の過酷な治世を、ひょうきんな身振りで非難した後、「しかしまた、元の御代に戻るだろう。」と観客に向かって言う。そのわけは、「束辺名の接司は、猪狩りの当日、山城の比屋に仇を討たれるだろうから…」と。

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 若接司を背負って登場した山城の比屋は、束辺名の按司が狩りをすると聞いて、仇討ちのチャンスと意気込んでいる。そんな大事なときでも、幼い若按司は、母が殺されたことも知らず、「仇討ちをしたら、母に会うことができるのか」と尋ねる。山城の比屋は、幼い若按司の言葉に涙するが、仇討ちこそ大事と恩納山に出かける。

 兼本大主と山城の比屋は、恩納山で偶然にも鉢合わせになる。しかし、二人ともお互いに親子だとは気付かずに戦う。若按司を背負って戦った山城の比屋は負けてしまう。しかし、そのとき、父の兼本大主が彼の名前を聞いたので、二人は親子だったことに気付く。
 意気揚々と猪狩りにやってきた束辺名の按司とその臣下たちは、山城の比屋と兼本大主親子の待ち伏せに遭い、全員が殺される。

 

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