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竹富島雑感

竹富島喜宝院蒐集館館長 上勢頭芳徳
「星砂の島」第4号、第5号掲載

足し算から引き算へ


 冬から春にかけてこの季節、1年間で最も観光客の多い時期だ。不況だといいながら前年よりも増えているようだ。今年は雨もほとんどなく暖かい日が続いているが、例年だと天候は不安定な時期だ。
 だから冬場の観光客が増えているのは、青い海と青い空のおかげだけではない。関係者の誘客資源の1つが竹富島の町並み景観というのは八重山観光の常識となっている(はずだ)。

 赤瓦ぶきの家並み、珊瑚石灰岩の石垣、白い砂の道など虚飾のない単純さ。生活の必然の中で繰り返し繰り返されて浮かび出たものが、岡本太郎さんが「沖縄文化論」の中でいわれる「なにもないこと」の眩暈、素晴らしさということに通じるのだろう。
 それにしても、世の中あまりにも過剰なのではないだろうか。足し算ばかりで虚飾で覆い、複雑にしてしまって本質を見失うと、進歩とは発展とは何だろうと思えてくる。先日、熊本での景観フォーラムで竹富島の事例報告をしたが、島に来たことのある人からも、本当の豊かさを感じたといわれた。これからは引き算の時代だと。

 そんな中で先月木曾妻籠宿からの第5次交流団が、今月2日にはあの由布院観光協会から20人が来島。夕陽の美しいコンドイ浜に、竹富町の観光関係者50人も加わってバーベキューパーティー。日が暮れると西空には水星、金星、木星、土星の惑星直列。40分後には東の空に満月が昇ってくるという、それはすばらしいシチュェーションの中での交流会だった。
 妻籠、由布院というまちづくりの大先進地から竹富にこそ学ぶものがあるといわれたことは、うれしいことだが改めてかみしめてみる必要がある。好天を招き寄せるのも地元の熱意の現れ、とは中谷健太郎会長の言葉だった。

「琉球新報」1999年3月10日掲載

 

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