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崎山毅『蟷螂の斧』より
虎と猫は祖先一つと言われたもので、常に仲のよい暮らしをしていました。
ある日のこと、描は大変知恵のある者だったので、虎をだましました。虎は大変おこって、「今日限り命を取ってやる」と猫に飛びかかりました。描は一生懸命に逃げました。
描は今にも虎の爪先に命をとられんとするとき、ある一軒家に逃げ込みました。この家主はちょうど狩に出かけようとしていましたので、すぐに弓矢を放ち虎を打ち殺しました。
猫は狩人の家の天井にがたがたふるえていましたが、4、5日後に天井から下りて来て、家主に命の恩人ですとお礼を申し、「その恩に報いたいと思いますので、何か仕事でもさせて下さい」と、申し出ました。
家主は、「うちには私に損害を与えているネズミがいる。それを退治してくれ」と頼みました。
「それは私にとってたやすい仕事です。恩人のために一生懸命奉公します。鼠をとる事は引き受けました」と言って、その仕事をしました。
それでも敵である虎がここに来はせんかと心配で、大庭や道に出ると自分のにおいを出さないように、大便をしたらかぶしておけば大変安心だと思い、便に砂をかぶせるそうです。