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崎山毅『蟷螂の斧』より
昔、竹富島に仲の良い夫婦がいました。そのうちにかわいい立派な男の子が生まれたので、夫は大事な男の子を育てるために昼夜一生懸命に農業に励みました。しかし、その年は作物が不作で食糧飢鐘の年でした。
夫は妻子に与える食料を求めるため、朝早く家を出て浜べを周り、何か漂流物でも無いかと竹富島を一周しましたが、食料になる物が見当りません。
南の浜から陸に上がり広い原野に出ると、その畑の片すみに一本の大豆(フウマミ)かづらが木の枝に鈴なりに稔っていました。それを見た男は大変喜んで大豆に感謝し、ひとザル大豆を折って家に帰りました。大豆のおいしい中身は子供に食べさせ、大豆の皮は親が食べました。
その翌日もその畑に行って、別の技になっている大豆を折り持ち帰り食糧にしました。それがその後6ケ月間も続き、やっとのことで飢饉を逃れ大事な一人子を大豆のお蔭で育てる事ができました。そこで、その畑の名前を一人(ヒトリヤ)畑と名付けたそうです。
竹富島では大豆一本あれば、りっぱに子供が育てられると言う言葉が残っています。