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崎山毅『蟷螂の斧』より
昔、竹富島にアールマイという人がいました。磯好きで魚を取るのが仕事でした。
ある晩、夜づりに行って沖で魚を釣っていると、目の前に大きな船がやって来ました。その船に乗っている人から「付近の港口を教えてくれ」と聞かれました。
アールマイは「何のためにその船をこの島に着けるのだ」と聞きました。
「私は病魔の神である。船いっぱいに病気の種子を載せて来たのだ。この島の出入港を教えくれたら、そのお礼におまえの畑に蒔く農作物だけは特別実らせてやる。おまえの畑に目印として、先の方を結んで差して置き、おまえの家の門には七五三の注連縄を張っておけば魔の種子は入れない」と、病魔の神が言いました。
アールマイは「島の北の方向にアールマイ港口という立派な港口があるから、その港口から船を入れて下さい」と、言って病魔船が遠廻りに来るような道順を教え、自分は一足先に島に戻りました。
道の両側の畑に結んだススキを差しつつ村に帰り、村の入口には七五三の注連縄を張って病魔の神を村に入れないようにしました。
それから竹富島ではアールマイの教えとして、種子蒔きしたときに「アールマイぬノールフキ」と唱えて、結んだススキを差し、作物の豊作を祈る印としました。
ハナツキヌニガイには村の入口に注連縄を張って病祓いの祭りをした習慣はこれから伝えられたと言います。