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竹富島の昔話

 崎山毅『蟷螂の斧』より

ニンニクと刀

 昔、竹富島に南風座屋のクヤマという信仰深い神司がいました。司の兄は乱暴者でした。
 ある日のこと、何かの言い争いで兄は刀を取り出し、妹を殺してやると追いかけました。妹は恐怖のあまり前の御嶽に逃げ走り、神殿(ウブ)に入り心を落ちつけ神に助けを乞い、乱暴な兄の来るのを待っていました。

 刀を持った兄がかけつけ、今にもウブに入ろうとしました。
 妹は、「男はウブに入る事を禁じられています。もしも刀を持ってウブに入ることあらば、神の怒りにふれ、その刀で神にあなたは殺されましょう」と、兄に向かっておどしました。

 兄は驚いて刀をウブの入り口に投げ捨て逃げ去りました。妹のクヤマはその刀を家に持ち帰り、家の奥深く誰にも見つからないようにに隠しました。
 クヤマは島の司として作物の豊作を神に念じ、常に魔物祓いとして首にニンニクとガーラー玉をかけ、自分の健康と島の豊年を祈っていました。

 ニンニクは野菜ではあるけれども独特な臭いを持ち、発芽もよく一本から数多の種子が取れ、根は強く長く土地に張って縁起のよいものです。クヤマはすべての作物にニンニクのような実りを願おうと、ニンニクは実りの神であると、ニンニクを神に初上げすることにしました。兄から取り上げた刀を取り出し、ニンニクと刀をお膳に載せて自分の健康と作物の豊作を祈りました。
 それから、クヤマは人々に慕われ、島の大司を命ぜられ、上司から青銅鏡1個、刀一振りを授けられました。

 

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